トイレでおむつ替え/排泄介助をしていて、こんな悩みや思いはありませんか?
手間取ってスムーズに出来ない、転倒しそうになる
トイレ内でおむつ替えと着替えが重なってスムーズにいかない、トイレの外(部屋の中)も汚れてしまう
利用者さんに嫌がられてなかなかスムーズにいかない、時間がかかってしまう
ご自宅や特別養護老人ホーム(特養)のような介護施設などで介護にチャレンジし始めたあなた。
あるいは、これから介護にチャレンジしようというあなた。
自宅、介護施設を問わず、おむつ替え/排泄介助に関するこれらの悩みは、毎日の介護現場のあるあるの1つです。
毎日のおむつ替え/排泄介助、1日に何度もということもあって、なにかと大変で辛いですよね。
このページでは、特養の介護現場で介護職員として働いていた経験をもとに、トイレでのおむつ替え/排泄介助をスムーズに行うための仕方、ポイント、注意点を紹介していきます。
具体的には、利用者さん自身が出来る範囲に応じて、タイプ別に紹介していきます。
介護をしているあなた、利用者さん共に「もっと当たり前に」楽な介護生活を送れるきっかけにできますよ。
介護を受ける方を「利用者さん」と表現しています。ご自宅で介護をされている場合は、例えば、「ご家族の方」のように読み替えてください。
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トイレでのおむつ替え介助の仕方、ポイント/注意点
トイレでおむつ替え、排泄介助ができる利用者さんは、多くの場合、下記の2つのタイプのどちらかです。
車椅子を使ってなくて、自力歩行が出来ている利用者さん
車椅子からトイレへ移乗出来る利用者さん
ここから、それぞれの利用者さんの場合の、トイレでのおむつ替え介助の仕方/方法、ポイント/注意点を紹介していきます。
(1) 車椅子を使ってなくて、自力歩行が出来ている利用者の場合
例えば、あと数歩でトイレ、というところまで普通に歩いていても、トイレが間に合わないとか。
軽い認知症の利用者さんで自力で歩けるけど、トイレがわからない、トイレまで間に合わないとか。
さらには、トイレには無事に1人で行ったんだけども、「 トイレでそのままおむつに大便をしちゃった、何とかして 」と手招きで呼ばれたり、なんてこともありました。
毎日の介護の現場では、あなたが健常者なら思いもつかないような場面がよくあります。「 今度はそうきましたか!」みたいな。
トイレの広さは、ベッド上とは違って、横や奥行きは狭めのところでも、縦(高さ)に広い/高いよね。
この特徴を活用して、トイレでのおむつ替えの仕方(自力歩行が出来ている利用者さんの場合)は、以下の流れのとおりです。
- あなた、または、利用者さん:
ズボン/パンツを下ろして、おむつを外します。 - 利用者さん:
座って用を足します。 - 利用者さん:
できるだけ自力で拭いてもらいます。 - 利用者さん:
新しいおむつに履き替えます。この時、トイレで転倒しないよう要注意! - あなたと利用者さん:
利用者さんのズボン/パンツ、上着の裾など衣服が汚れていないかをチェックして、汚れてないなら、そのままトイレを出ます。
文字で見ると、たいして難しくないような気もするでしょうか。
それでも、最初から最後までスムーズに上手くいくことは、そんなに多くはないよ。それが介護の現実です。
それに対応していくことが、なかなか難しいところ。
1~3までは、いわゆる「トイレでの見守り」です。
利用者さんが自力で出来ることは自力でやってもらう。これ、介護の基本中の基本です。
3で、もしも利用者さんが自分で拭けない場合は、あなたが拭けるスペースがあるなら、温かめ(目安は人肌くらい)のお湯を入れたボトルを使ってお湯をかけながら拭きます。
この時、下記の2通りのどちらかで拭きます。それぞれ一長一短ですので、その時々に応じてどちらかを選択します。
(a)利用者さんが立った状態で拭く時
座っている時よりも拭きやすいけど、床がお湯でびしょびしょになりやすい。
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トイレの後始末が大変です。
さらに大切なことは、利用者さんがトイレで転倒しないように支えること。
(b)利用者さんが便座に座った状態で拭く時
立っている時よりも床がお湯でびしょびしょになりにくいけど、拭きにくい。
トイレで転倒するリスクは、低め。
(a)、(b)どちらにしても、(利用者さんが自分で拭けないけどもトイレを使う排泄介助)は、あなたも利用者さんも、正直、かなりの労力がかかります。
「 ちょっと狭いよ!」とか、「 腕が痛い!」とか。時には、喧嘩になったり。
これが介護現場の現実だよね。決して楽なものではありません。これがほぼ毎日毎日。
日々のルーチンと考えると、
・利用者さんにとっては、転倒のリスクもあるし、
・介助をしているあなたにとっては、ベッド上でのおむつ替えの方が体力的/肉体的に楽、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私もそうでした。トイレでのおむつ替えよりも、ベッド上でのおむつ替えの方が体力的/肉体的に楽。時間も短くて済むし。
ここは、利用者さんの尊厳を保つことと介護の労力との兼ね合いだね
介護の利用者さんの尊厳やプライバシーについては、下記のページで紹介しています。あわせてご覧になってくださいね。
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3が終了したら、4 新しいおむつを足に通して、そのまま履いてもらう。
この時、引き続き利用者さんがトイレで転倒しないように支えます。
5は、ズボンやパジャマなど衣服が汚れていた場合は、できればトイレで着替えます。
でも、トイレの広さや転倒リスクも考えると、トイレで無理をすることは禁物。
汚れない程度までおむつでカバーできたら、汚れた衣服だけトイレに脱いだままトイレを出て、広い場所でゆっくり着替えることがお薦めです
最悪、おむつだけでも履いていればOK
- 自力で出来ることは自力でしてもらう
- 転倒に注意すること
- トイレでの汚れをトイレの外に出さないこと
- トイレで出来ないことは、広い場所ですることも考えること
このポイントを意識してチャレンジするだけでも、あなたも利用者さんも、よりストレスの少ない介護生活を過ごせるようになるよ。
(2) 車椅子からトイレへ移乗出来る利用者の場合
トイレは、ベッド上と違って、横や奥行きに狭くても、縦(高さ)に広い/高い。
上記の【 (1) 車椅子を使ってなくて、自力歩行が出来ている利用者さんの場合】でも紹介しましたとおりです。
この特徴を活かして、トイレでのおむつ替えの仕方(車椅子からトイレへ移乗出来る利用者さんの場合)は、以下のとおりです。
- あなたと利用者さん:
車椅子でトイレに入ります。 - あなたと利用者さん:
車椅子から便座に移乗します。 - あなた、または、利用者さん:
ズボン/パンツを下ろして、おむつを外します。 - 利用者さん:
座って用を足します。 - 利用者さん:
できるだけ自分で拭いてもらいます。 - 利用者さん:
新しいおむつに履き替えます。この時、トイレで転倒しないよう要注意! - あなたと利用者さん:
トイレから車椅子に移乗します。 - あなたと利用者さん:
利用者さんのズボンなど衣服が汚れていないかをチェックして、汚れていないなら、そのままトイレを出ます。
この場合も、実際には、最初から最後までスムーズに上手くいくことは、そんなに多くはないよ。それが介護の現実です。
それに対応していくことが、なかなか難しいところよね。
1.は、特養のような介護施設でも、車椅子から便座への移乗が出来るだけの充分な広さのあるトイレばかりではありません。
ましてやご自宅となると、トイレの広さや入り口の段差など、車椅子に対応すること自体がなかなか難しいよね。
新しくリフォームが必要ということも。
介護リフォームについては、下の【ちょっとブレイク 介護リフォーム】で触れていますので、ご覧になってくださいね。
2の車椅子から便座への移乗は、転倒に要注意です。
3~5は、いわゆる「トイレでの見守り」ですね。
ここでも、利用者さんが自力で出来ることは自力でやってもらう。これ、介護の基本中の基本です。
5や6、8は、上記の【[jin_icon_arrowcircle size="15px" color="#24b500"] 車椅子を使ってなくて自力歩行が出来ている利用者さんの場合】と同じです。
やはり、転倒に注意することが第一です。
- 自力で出来ることは自力でしてもらう
- 転倒に注意すること
- トイレでの汚れをトイレの外に出さないこと
- トイレで出来ないことは、広い場所ですることも考えること
ちょっとブレイク 介護リフォーム
トイレで排泄介助、おむつ替えをしようとしたら、「 ちょっと狭い」、「もう少し使いやすいようにしたい」など、思うこともあるでしょうか。
そんな時の選択肢の一つに、介護リフォームがあります。
「 自宅をリフォーム?高いんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるでしょうか。
確かにお金が必要ですが、リフォームすることで介護生活を過ごす時に得られるメリットもあります。助成金が支給されることもあります。
すぐに選択肢から除外せずに、情報を集めてみてはいかがでしょうか。
介護リフォームについては、下記のページで紹介しています。あわせてご覧になってくださいね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
トイレでのオムツ替え/排泄介助の仕方、ポイント/注意点を、利用者さん自身ができる範囲に応じて、2つのタイプに分けて紹介しました。
車椅子を使ってなくて、自力歩行が出来ている利用者の場合
車椅子からトイレへ移乗できる利用者の場合
普段の介護生活の中で、おむつ替えをする場所は、ベッド上とトイレのどちらを選ぶかは人それぞれ。さらにはタイミング次第ということも。
それでも、利用者さんにとっては、おむつ替えの場所は、ベッド上よりもトイレでする方が、尊厳や健康、介護生活に対する意識の持ち方等にも圧倒的に良好です。
できるだけ、まずは、トイレで排泄介助をすることにチャレンジしてみることがお薦めです
そうは言っても、特に自宅で介護をしている場合は、介助をしているあなたの体力や都合、トイレの広さなど、現実的な問題もあるよね。
そんな時は、お住いの市区町村役場や地域包括支援センター、近所の介護サービス事業者に相談しながら、トイレにするか/ベッド上にするか決めることがお薦めです。
以下で紹介していますので、あわせてご覧になってくださいね。
老老介護の生活状況とは?(6)介護のために満足に仕事に行けない時にはどうしたら?
https://kaigo-nuigurumi-garden.com/column/elderly-care-for-the-elderly/11-healthy-life-span8_atab
老老介護の生活状況とは?(7)介護のために満足に仕事に行けない時の相談先に~地域包括支援センター~
https://kaigo-nuigurumi-garden.com/column/elderly-care-for-the-elderly/12-healthy-life-span9_atab
次のページでは、ベッド上でのおむつ替えとトイレでのおむつ替え、こんな時はどっちを選択したら?について、紹介していきます。
少しでもストレスを減らして、より楽でスムーズな介護生活を。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!
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