あなたは、食事介助をされる利用者さんの心境を実感したことはありますか?
ご自宅、あるいは、特別養護老人ホーム(特養)のような介護施設などで介護にチャレンジし始めたあなた。
これから介護にチャレンジしようというあなた。
毎日の食事介助がスムーズに進まない、嫌がられる、なんてことは、介護のあるあるの一つですよね。
そんな時に、「 なんで食べてくれないの!?」と、利用者さんを責める気持ちになってしまうことはありませんか?
私も特養で食事介助をしていた時には、正直、そう思うこともありました。
あなたはいかがでしょうか?
そんな困りごとを解決したい時には、次の2つが気になりませんか?
1.利用者さんがなぜか食べてくれない、口を開けない/開けてくれない理由は何?そんな時はどう対処したら?
2.そもそも食事介助される心境って、どんなものなの?少しでもわかれば、解決に近づけるかも?
このページでは、この2つのうち、2つ目の、利用者さんにとって、「 そもそも食事介助されるということは、どんなものなの?」について、紹介していきます。
具体的には、特養の利用者さんからお聞きした情報をもとに、下記の2つの視点から紹介していきます。
利用者さんにとって、自由の視点から
利用者さんの心情面の視点から
利用者さんの視点からの情報を知って食事介助をすると、食事介助をしやすくなりますよ。
そうなったら、食事介助がスムーズになる、余分な時間がかからなくなる、余裕が出てくる。
介助をしているあなたにとって、食事介助が楽になるきっかけに、介護生活が楽になるきっかけに。あなた自身の時間をより確保しやすくなるなど、様々なメリットが得られますよ。
なお、1つ目の「利用者さんがなぜか食べてくれない、口を開けない/開けてくれない主な理由と対処法」は、下記のページで紹介しています。
こちらもあわせてご覧になってくださいね。
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このページでは、介護を受ける人を「利用者さん」と表現しています。ご自宅で買いをしている場合は、例えば、「ご家族の方」や「親しい方」のように読み替えてください。
クリックできる目次
食事介助をされるということは?~自由の見方から
食事介助をされている時の思い。
介護をする側の健常者からすると、実際に継続的に食事介助をされたことがないと、正直、あんまりよく分からないですよね。
例えば、病気や怪我で「 一時的に何回か食事介助されたことはあるよ」という方はいらっしゃるかもしれません。
ここのポイントは、継続的に、かつ、いつ終わるかも分からない状況で、毎度、食事介助をされている、ということです。
そんな状況で食事介助をされるということは、自由の見方から、
① 食べたいタイミング、食べたいメニューを、自由に決定出来ない
② 決められた/出されたメニューからも、食べたいタイミングで食べたい一品を、自由に選んで食べることが出来ない
③ 毎食毎食、介護をしてくれる介護職員/家族や親しい方から、すぐ横から、食べる様子を見つめられている
こんな時の心境、具体的に想像できますか?
① 食べたいタイミング、メニューを自由に決定できない
あなたは今、とあるカフェで寛ぎながら、この『 ぬいぐるみガーデン~介護~』のページを読んでいますか?
そうでしたら、お店に入ってあなたが選んだ、例えば、レモンティーとショートケーキが目の前にありますか?
あるいは、これからカフェに行って、「 レモンティー飲みながら、お気に入りの本を読もうかな、『 ぬいぐるみガーデン~介護~』をみようかな」という愉快な状況でしょうか?
一方で、「食事介助をされる」状況では、食べたいタイミングで、食べたいと思う、例えば、レモンティーやショートケーキは、その時、あなたの目の前には出てきません。
ぱっ、と消えます。
なぜなら、誰かに食べさせてもらうのですから。
今、健常者のあなたが毎日当たり前のようにしているであろう、
今日は何を食べようかな
ちょっとケーキ食べたいから、今から買って食べようかな、買って帰ろうかな
ちょっとテイクアウトのコーヒー を買って飲もうかな
なんて自由意思を叶えることは、相当にハードルが高いよ。
自宅でも、食べさせてもらうことに変わりはないよね。ということは、食事のタイミングは制限されるよね。
メニューも、食事介助のしやすさ/しにくさ、さらには、介護する人の手間にも影響されるよね。
ですから、自宅でも、食べたいタイミング、食べたいメニューへの自由意思は、ある程度制限されてしまいます。
食べたいタイミングで食べたいものがなかなか食べられない。この先、ずっと。
そんな状況の方の心境、想像できますか?
② 決められたメニューからも、食べたいタイミングで食べたい一品を、自由に選択できない
介護施設では、基本的に、目の前に食べたいメニューではなく、決められたメニューが並びます。
それだけじゃなくて、配膳をみて、食べたいタイミングで食べたい一品を食べることも出来ない。
具体的には、食事介助をする人が「 次はこれかな」と思った一品が、食事介助をする人のタイミング次第で、あなたの口元に、ズイッとやってくる。
もちろん、食事介助をする人も、口の動きなどから、タイミングや一口の量の調整をしてはいますが、それでも、
③ 毎食毎食、介護をしてくれる介護職員/ご家族や親しい方に、見つめられる
食事介助をされるということは、毎食毎食、介護をしてくれる介護職員/ご家族や親しい人に、すぐ横から、食べる様子を見つめられています。
あなたでしたら、この状況はいかがでしょうか?
食事介助をされるということ~心情面から~
「食事介助をされる」ということは、食べさせてもらわないと食べることができない、ということですよね。
この時の利用者さんの心情って、どんなものでしょう?
- まずは、口を「あ~ん」と開けて見せることから。
- 口元に食べ物が来るのをじっと待ち、きたらパクっと食べる。
- まだ食べている途中でも構わずに次々に口元にくることも。時にはちょっと待ってもらって、口元にきたらまたパクっと。
いい大人が、毎食毎食この繰り返し。
この時の利用者さんの心情は、
羞恥心
自分自身への歯がゆさや情けなさ、屈辱感、自尊心の崩れ
介助してくれる人への申し訳なさと感謝の気持ち
等が入り混じった、一言では言い表せない、何とも表現できない心情。
さらに、食事介助中に声かけや会話がなかったり少なかったりすると、機械的に食べさせられているような心情になるとか。
これ、しばらくしたら恐怖心にもなるよね。
食事介助と尊厳のある暮らし
ここまで紹介しました内容から、利用者さんにとって、「食事介助をされる」ということは、
食事をする時の自由が制限される。
「羞恥心」+「自分への歯がゆさ、情けなさ、屈辱感、自尊心の崩れ」+「介助してくれる人への申し訳なさと感謝」等が入り混じった、一言では言い表せない何ともいえない心情がある。時には恐怖心も。
こんな、なんとも厳しい状況でも。
「 そんな思いを叶えたい、少しでも楽しく食事をしてもらいたい」と思う時には。
さらに、介護をしているあなた自身が、少しでも負担を減らして楽に介助をしたいと思う時には。
「 この両方の思いを満たすように食事介助を」、と思っていても、実際には、これがなかなか難しいところだよね。
そんな時には、次の7つをやってみることがおすすめですよ。
食事介助が楽になるように、食事介助の前のおすすめな5つの準備ポイントをして、
できるだけ、食堂やキッチンのテーブルで食事をするようにして、
時には、気分転換のカフェタイムを一緒に過ごして(自宅介護の方向き)
時には、あるいは日常的でも、宅配食などで変化、バラエティを楽しみながら(自宅介護の方向き)
一人で頑張るのではなく、いろんな支援を活用しながら(自宅介護の方向き)
日々大変な介護をしているので、できるだけ楽に、ストレスを少なくして、スムーズに負担を少なくした生活を送りたいですよね。
これから先、あなたが普段の介護生活を「もっと当たり前に」少しでも楽に、楽しく過ごせるように、そんなきっかけやお力に。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!
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